合成ポリマーって何?肌に悪いのかや成分について徹底調査
基礎化粧品を筆頭に、美容液やUVケアアイテム、コスメなど幅広いジャンルの化粧品で注目されているのが”無添加化粧品”。
お肌に負担をかける成分を少しでも取り除いた化粧品を開発しようと、各メーカーがチカラを入れている分野となってきていますよね。
無添加化粧品とひとくちにいっても、”アルコールフリー”、”パラベンフリー”、”合成着色料フリー”など様々な「無添加」が存在するため、それぞれがどういったもので、お肌にどのような影響を及ぼすのか?と混乱している方も多いはず。
その中でも今回の記事で注目したいのは『合成ポリマー』です。
「なんとなく名前は聞いたことあるけれどどういった成分なのかいまいち分からない…」という方のために、『合成ポリマー』とはそもそもどのようなものなのか、お肌に危険性はあるのか?を解説していきます。
合成ポリマー不使用の化粧品の選び方のコツも記載していますので、次回のお買い物の際にはぜひ参考にしてみてくださいね。
合成ポリマーってなに?
合成ポリマーとは一般的には合成樹脂、合成ゴム、合成セルロース、合成オイルなどの、分子を繰り返しつなぎ合わせた高分子の合成物質を指します。
ポリマーとは、分子量がおよそ1万以上になる巨大分子のことで、高分子とも呼ばれています。
ポリマーは『天然ポリマー』と『合成ポリマー』の2つに分けられます。
◇天然ポリマー
たんぱく質、でんぷん、脂質、セルロース、コラーゲン、ヒアルロン酸、天然ごむなどの自然界由来のポリマーのこと。
◇合成ポリマー
プラスチック(ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等)、合成繊維(ナイロン、ポリエチレンなど)、合成ゴム、シリコン樹脂などの、人工的に化学合成されたポリマーのこと。
今回記事でご説明するのは合成ポリマーとなります。
合成ポリマーといっても、プラスチック状やラップ状、繊維状など化学構造はさまざまです。
合成ポリマーの特徴は、以下の通り。
・合成であるため変質することがない
・合成であるため酸化したり腐ることがない
・比較的、安価である
・乳化を安定させる作用を持つ
合成ポリマーを化粧品に配合することで、お肌にしっとり感・つるつるとした感触をくわえることができます。
というのも、合成ポリマー入りの化粧品は使用感は、まるでお肌を薄いベールで肌をコーティングしているかのような、つるつるとした手触りが感じられます。
例えるのであれば、お肌に液体のプラスチックの膜を張っているようなイメージ。
そのため、合成ポリマー入りの化粧品を使用したあとはシワがのびてお肌にハリがでたように感じたり、若返ったように感じることもあるんです。
これらの特徴により、合成ポリマーは化粧品に使われることが多い物質となっています。
乳化を安定させる作用を持つことから、乳化剤代わりに使われるケースも多く、クリーム状やジェル状の化粧品に配合されていることが多いんです。
少量の合成ポリマーで、クリーム状の化粧品をつくることができるため、安価な乳化剤代わりとして使用されているんですね。
また、合成ポリマーを配合した化粧品の触り心地はなめらかでとろみがあり、お肌がべたべたしないという特徴もあります。
合成ポリマーの成分について
ここまで合成ポリマーとはどのようなものかをご説明してきましたが、実は『合成ポリマー』とは、”合成樹脂”、”合成ゴム”、”合成セルロース”などの総称を指しています。
ただし、化粧品の裏に記載されている成分表をみても、”合成ポリマー”という記載はもちろん”合成樹脂”、”合成ゴム”、”合成セルロース”の記載も見当たりません。
合成ポリマーを示す代表的な成分名は『流動パラフィン』『カルボマー』『ジメチコン』といったものがあります。
すべての成分名を覚えるのは至難の業なので、ひとまずは以下のリストに当てはまるものは合成ポリマーである、とおさえていただければOKですよ。
・XXXポリマー
・XXXXXコポリマー
・ジメチコン
・ジメチコンXXXXX
・シメチコン
・XXXXクロスポリマー
・カルボマー
・流動パラフィンなど
肌に悪いのか?
合成ポリマーそのには毒性やお肌への刺激はありませんが、使用を続けることでお肌に影響をおよぼす可能性があります。
その理由は大きく分けて以下の3点です。
①お肌の乾燥に気づかず、インナードライが加速する可能性がある
②お肌の常在菌に悪影響を与える
③強力なクレンジング剤が必要である
①お肌の乾燥に気づかず、インナードライが加速する可能性がある
合成ポリマ―はお肌の表面をコーティングして、しっとり感やつるつる感を与えてくれるため、使用する側はその感触に満足感を得ることが多いでしょう。
結果的に、お肌が乾燥していてもそれに気づかずにケアを怠ってしまい、インナードライになってしまう可能性が考えられますね。
合成ポリマ―が直接お肌に刺激を与えるわけではありませんが、長期にわたって使用を続ける場合は注意が必要そうです。
②お肌の常在菌に悪影響を与える
合成ポリマーは肌表面に膜を張ったような状態となり、お肌をコーティングしてしまうことから毛穴を塞ぎ、さまたげになってしまうことがあります。
この作用により汗や脂を通さなくなるのに加えて皮ふが正常にターンオーバーできなくなることで、お肌の常在菌が住みにくい環境を作り出してしまうことも。
皮膚常在菌は、すこやかなお肌を保つために重要な働きをしてくれており、お肌のバリア機能をになっているもの。
よって、合成ポリマー入りの化粧品を使い続けることで、お肌のセラミドが減ってしまい、お肌のバリア機能が低下して自力でうるおいを保つ力がおとろえてしまうことが考えられます。
③強力なクレンジング剤が必要である
合成ポリマーはお肌表面にビニール膜のようにしっかりと張りつく特性をもっています。
密着性が高いがゆえに、普通の石鹸などではなかなか落とすことがむずかしく、強力なクレンジング剤が必要となってきます。
強力なクレンジング剤はお肌のうるおいをうばってしまうため、毎日使用しているとお肌の乾燥が悪化してしまう可能性も考えられますよね。
また、化粧品をオフするときに強くお顔をこすって摩擦を与えてしまうこともありますので扱うには注意が必要となります。
このように、合成ポリマー配合の化粧品を長期にわたって使用することで、お肌環境が悪くなり乾燥肌になってしまう可能性や、日々のケアで肌が弱くなってしまう可能性があります。
合成ポリマーそのものがお肌に刺激を与えるものではありませんが、基礎化粧品など毎日使用するものであれば注意が必要といえるでしょう。
合成ポリマーはUV化粧品に使われる
合成ポリマーはUVカット化粧品に使われることが多い成分です。
その理由の1つは、合成ポリマーを配合すると乳化剤を使わずとも化粧品をなめらかなクリーム状にすることができるからです。
また合成ポリマーの特徴である、さらさらとして手馴染みのよい使い心地の良さから、各メーカーが好んでUVカット化粧品に使用しているケースが多いようです。
UVカットの化粧品(日焼け止めやファンデーションなど)を使用した際に、なんとなくお肌に圧迫感を感じた経験はないでしょうか?
成分表をみてみると合成ポリマーが使用されている可能性があります。
合成ポリマーはお肌に膜を張るような作用をしているので、お肌にフィットしてくれる半面、お肌が少し重たいように感じることがあるんですね。
クレンジングで落とすことが可能
合成ポリマーは市販のクレンジング剤で落とすことが可能ですが、クレンジング力が弱いものでは肌に残ってしまう可能性があるため注意が必要です。
またお湯で落ちる化粧品であっても、通常のぬるめのお湯では落ちず、少し高めの温度でないと合成ポリマーが完全に落ち切らない可能性もあります。
お肌に合成ポリマーが残った状態は乾燥肌や敏感肌になってしまう原因にも。
合成ポリマー入り化粧品を使用した際には、多少お肌に負担はあれど、洗浄力が強めのクレンジング剤をチョイスするようにしましょう。
合成ポリマーが含まれていない無添加化粧品を見分ける方法
合成ポリマーは代表的なものとして、主に『流動パラフィン』『カルボマー』『ジメチコン』といった成分が使用されています。
※詳しくは本記事の「合成ポリマーの成分について」に記載の成分をご参考ください。
合成ポリマーは少量でも効力を発揮する成分であるため、成分表示表の最後の方に記載されていることが多いです。
成分表の最後に合成ポリマーを示す成分の記載がないか?をチェックしてみてください。
オーガニック化粧品をチョイスする
「成分表を見てもいまいち合成ポリマーが使用されているかどうかが分からない…」という方も多いはず。
実際、成分を見てもすぐに合成ポリマーであるかどうかの判断を下すことは難しいです。
そういった方におすすめなのが、『オーガニック化粧品』をチョイスすること。
化粧品の成分に化学的なものを使用せず、有機栽培された植物由来の成分を使用して作られる化粧品のこと
ただ、無添加化粧品であっても、アルコールや着色料、パラベンなどを無添加としていても”合成ポリマーは配合されていた”なんてことはよくあります。
同じポリマーであっても天然由来の成分の”天然ポリマー”を使用していることがオーガニック化粧品であれば多いため、比較的安心して使用することができますよ。
ポリマー自体がお肌に悪いわけではありませんので、キサンタンガム・ペクチン・アルギン酸・マンナンなどの植物性の天然ポリマーを使用している商品をチョイスすることがポイントとなるでしょう。
水溶性ポリマーとはどんなもの?界面活性剤なの?
水溶性合成ポリマーは、通常の界面活性剤※とは異なる原理で構成された合成界面活性剤であり、通常の合成界面活性剤の働きを補強する役割を担っています。
※界面活性剤とは?分子内に水になじみやすい部分と、油になじみやすい部分を持つ物質の総称。
ですので界面活性剤とは違った働きをしてくれる成分、と思っていただければOKです。
名前の通り水に溶けるポリマーであり、天然ポリマーでいえばヒアルロン酸、ゼラチン、キサンタンガムが水溶性ポリマーに当てはまりますね。
化学構造が水溶性のものでできているため、よく水に溶けてねばりけを出してくれることが特徴です。この特性から増粘剤・ゲル化剤として使用されることが多いんだそう。
これまでにも少し名前が出てきていた『カルボマー』は代表的な水溶性ポリマーで、よく化粧品に使われていますよ。
まとめ
いかがでしたか?
合成ポリマーといっても、合成ポリマーそのものがお肌に刺激を与えるものではありません。敏感肌や乾燥肌のお悩みをお持ちの方は、本記事の成分を参考にして、アイテム選びの参考にしてくださいね。